飲食店のデータドリブン経営

飲食店のデータドリブン経営

都内を中心に19店舗展開しているサラダ専門店クリスプ社の取り組み。
週単位で定期配送するサブスクサービスを始めている。
サービス名:クリスプ・リプレニッシュ

<契約プラン>
・毎週4食(1食当たり税込み1390円)
・毎週6食(同1290円)
・毎週10食(同1240円)
・毎週12食(同1190円)
店舗で提供するサラダは約1200~1650円だが、
クリスプ・リプレニッシュではどれを選んでも価格が変わらない。
また、上記金額は配送料込み。

21年5月からテスト運用を始めたが募集をかけると1000人の応募があり
ARPU(1ユーザー当たりの平均売上)は店舗利用者が月3,000円だったのに対し
月30,000円という結果を生み出し、実際の運用を開始している。

<サービスのポイント>
・どのサラダを選んでも価格が同じ
→1つのサラダを食べ続ける人よりも、色んなサラダを試してくれる人の方がLTVが高まることが分かった。
クリスプ。リプレニッシュでは単価を気にせず色々なサラダを注文できるようにしている。
結果的に、飽きることなく続けられ、好みに応じた注文もできるので購買額が膨らみやすい。

・月単位ではなく週単位の契約
→健康のために定期的にサラダを食べようと思っても月単位の契約だと続けられるか不安になり、毎月の支払額も大きく見えるが
週単位にする事で金額を小さく見せ、いつでも変更・キャンセル可能な設定にしているので、「サラダ生活」に挑戦するハードルは低くなる。

・自前で配送網を構築
→他社に委託すると当然その分コストがかかる。配送料無料というのは確かに大きい。
具体的には配送時間を絞り込んでいる。
 午前9時~正午
 午後2時~午後4時
 午後4時~午後6時
 午後7時~午後9時
これを基にあらかじめ効率的に回れるルートを組めるようにしている。
※とはいえコストは掛かるので、どこかに配送コストを吸収してるのだとは思うが。

LTVを向上させるための情報を得るために、
現金払いができる店舗は限られており
ほぼキャッシュレスでの対応にしている。
年商11億のうち93%がデジタル経由。
キャッシュレスは顧客層を狭める可能性もあるので諸刃の剣にもなるが、
顧客1人1人のデータを蓄積することで好みも分かる。
顧客別に声のかけ方も変わる。
例えば、
・「この前は満足いただけましたか?」
・「次回はいつもと違うこんなカスタマイズ試してみませんか?」
といったコミュニケーションも可能になる。

LTV向上させるためのKPI
・DISCOVER(サイトを見てくれた人)
・MEET(初めて利用してくれたお客さま)
・SMILE(3回目も来てくれた人)
・LIKE(5回目も来てくれた人)
・LOVE(体験の満足度)
・RAVE(LTV)

ちなみにこれらのKPIは、
「CRISP METRICS(クリスプメトリックス)」というサイトで一般公開している。

特に注視しているのが、SMILEとLIKEという2つの来店率指標。
→1回来て2回目リピートしなくなる人は約6割いるが、無料トライアルなどの施策で『間違って来店した人』が含まれるので気にしておらず
一方で、3回目来てくれるかどうかは、その後の継続率に大きく関わると。
そして来店5回目を超えると離脱率は10%以下に下がり、多くが熱狂的なファンとして定着しやすいことが分かっている、との事。

デジタル決済を推進した結果として、このような仮説を立てれたし、サービス内容に変化を加えられた。
クリスプを10回以上利用している熱狂的なファンは、5回までで利用をやめてしまった人に比べて、
初回以降の来店頻度が常に3倍も高いことが判明し、ほぼ5日間隔だという。
となると週に1回以上利用してもらう施策が必要、という考え方が生まれる。
「来週待ってますよ」という声掛けを意図的にしたり、3回目、5回目の節目に合わせて、
割引クーポンを配布するなどのデジタル施策も実行している。

従業員の評価制度も、LTVを高めるために変化を加えている。
あるスタッフが接客した顧客は20回来店して平均単価1000円だとしたら
20000円の売上貢献をしていることを評価してあげるといった具合に。